EAのパラメーターは、同じEAでも性格を変えるためのつまみのようなものです。どのくらいのロットで取るか、何時から何時まで動かすか、許容するスプレッドはどのくらいか、損切りや利確をどこに置くか、といった大切な設定をここで決めます。使い始めのつまずきは、入力の手順と意味を知らないことが原因で起きることが多いので、順を追って分かりやすく整えていきます。
最初にやることは、EAをチャートに載せたあとに設定画面を開いて入力することです。EAを新しく載せた直後は自動的に設定画面が開きますし、すでに載っている場合はチャート上でキーボードのF7を押すと同じ画面を開けます。画面にはいくつかのタブがありますが、数値やオンオフを変えるのは入力というタブです。ここにEAごとに並んでいる項目がパラメーターで、右側の値をダブルクリックすると編集できます。数字は整数と小数のどちらも使えます。オンオフは真か偽という選び方で切り替えます。文字列の欄には通貨名やコメントのような文字を入れます。小数はドットで書くのが基本で、0.10や1.5という形で入力します。
値を入れる順番に迷う必要はありません。上から下へ落ち着いて見ていけば十分です。ロットを固定で使うならロットの欄を希望の大きさに直します。口座残高に合わせて自動でロットを決める設計のEAなら、そのためのパーセントを入れます。損切りや利確の距離を使うEAであれば、その距離を今の相場に合うように調整します。時間で動かすかどうかを選べるEAでは、時間のオンオフを先に決め、開始と終了の時刻を合わせます。ここで気をつけたいのは、時間の基準がパソコンの時刻ではなくサーバー時間(ブローカーの表示時間)になっているEAが多い点です。チャートの下に見える時刻が基準になっているかどうか、説明書や画面の注記で確かめると安心です。
スプレッドに上限を持たせる項目があるEAでは、ここを未設定にすると静かな時間はよくても、広がりやすい時間に余計な負けが出やすくなります。いつもの環境で平均的に出ているスプレッドの少し上を上限に入れておくと無駄なエントリーを避けられます。連続でポジションを増やすタイプのEAなら、最大ポジション数や同時エントリーの間隔も重要です。数を増やしすぎないように上限をはっきり入れ、間隔も短くしすぎないようにします。複数のチャートで同じEAを動かすなら、マジックナンバーという識別番号をそれぞれ違う値にしておくと、互いのポジションを誤って触ることを防げます。
入力が終わったら、必ずOKを押して反映させます。ここでキャンセルやウィンドウの×を押すと、せっかくの変更が消えてしまいます。変更後に本当に反映されたかどうかを確かめるには、もう一度キーボードのF7キーで開いて値が残っているかを見る方法が確実です。あわせて画面下のエキスパートと書かれたタブを開くと、EAが起動したときのメッセージが並びます。多くのEAは起動時に主要な設定値を表示しますので、そこで目視確認しておくと安心です。
同じ設定をまた使いたい場合は、入力タブの読み込みと保存を活用します。今の値を保存を押すとファイルとして保管でき、次に別のチャートで同じEAを使うときに読み込みから一発で呼び出せます。ファイル名は、通貨や時間足、日付やロットの目安を入れておくと後から見ても分かりやすいです。たとえば EURUSD_M15_2025-08_固定0.10 のように付けておくと迷いません。設定をあれこれ試すときは、安定している基準のファイルを一つ決めておき、そこから分岐して作ると、うまくいかなかったときにすぐ基準へ戻せます。
動かしながら値を変えたい場面も出てきます。そんなときは一度だけ自動売買ボタンをオフにして、キーボードのF7キーで値を直し、OKで閉じてから自動売買をオンに戻すと安全です。オンのままでも変えられますが、ちょうど注文が出る瞬間に値を切り替えると、思わぬタイミングで取引が走ることがあるからです。変更の前後で挙動が変わったかどうかを見分けやすくするために、変更日時と何をいくつ変えたのかを簡単にメモしておくと役立ちます。変える項目は一度に欲張らず、ひとつかふたつに絞ると原因と結果の関係が追いやすくなります。
ありがちな勘違いも先に押さえておきます。笑顔のマークが出ていても、パラメーターの条件が厳しすぎると取引は発生しません。例えばスプレッド上限を低くしすぎたり、時間の制限を狭くしすぎたりすると、いつまで待っても何も起きないことがあります。逆に、値を緩めすぎると短時間に取引が増え、手数料やスリッページの負担が重くなります。困ったときは、まず元の推奨値に戻し、そこから少しだけ上下に動かして手応えを見るやり方が落ち着きます。
複数の通貨や時間足で同じEAを使うなら、チャートごとにパラメーターを変えて性格を分けるのがコツです。動きの速い時間帯に合わせたいときは利確をやや浅く、静かな時間に合わせたいときは距離をやや広めにし、代わりに時間で新規を減らすようにします。同じ通貨で似た設定を同時に走らせると、口座全体のポジションが同じ方向に偏りやすくなるので、マジックナンバーを分けたうえで、最大ポジション数や合計ロットの上限を口座全体で決めておくと安心です。
最後に、入力ミスを防ぐ小さな習慣を添えておきます。値を変えたらすぐにOKで確定し、もう一度開いて本当に入ったかを見ること。保存で設定ファイルを作り、名前に条件を残すこと。別のPCやVPSへ持っていくときは設定ファイルを一緒に移し、読み込みで同じ環境を再現すること。この三つを守るだけで、多くの行き違いは避けられます。
以上のように、パラメーターの入力は特別な操作ではなく、入力タブで値を落ち着いて整え、OKで反映し、保存と読み込みで再利用し、必要なら安全に微調整するという流れの積み重ねです。意味を知って一つずつ決めれば、初心者の方でも迷わずにEAの性格づけができるようになります。